【三重県施設代表者】 新型コロナ関連文献[追加]

施設代表者ML 各位

先ほどの文献と同じになりますが、少し詳しく書かれています。

Medical Tribune版の記事を転載します。

以下、転載記事

コロナのエアロゾル感染に有効な一手

2022年09月06日 14:42

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のエアロゾル感染を抑える手立てはあるか。東京大学医科学研究所ウイルス感染部門特任教授の河岡義裕氏らは、エアロゾル中に存在するSARS-CoV-2に対するHEPAフィルター搭載空気清浄機の捕集効果を検証。その結果、HEPAフィルターが室内空間から経時的にSARS-CoV-2を除去できることが示されたとmSphere(2022; 7: e0008622)に発表した。

HEPAフィルターの捕集効果の定量評価はなされていなかった

エアロゾル感染はSARS-CoV-2の主要感染経路の1つである。室内においてSARS-CoV-2の空間中への拡散を低減するには、HEPAフィルターによる空気の濾過が有効とされている。HEPAフィルターは、米国環境科学技術研究所の規格では0.3μmの試験粒子を99.97%以上捕集可能なものと定義されている。これまで、エアロゾル中のSARS-CoV-2に対するHEPAフィルターの捕集(除去)効果について定量的な評価は行われていない。

そこで河岡氏らは、HEPAフィルターによるSARS-CoV-2除去効果を検証するため、実験施設内に設けた試験チャンバー内にHEPAフィルター搭載空気清浄機を設置。コンプレッサー式ネブライザーを用いて、チャンバー内にSARS-CoV-2エアロゾルを噴霧した。チャンバー内をSARS-CoV-2エアロゾルで満たした後、チャンバー内に設置したHEPAフィルター搭載空気清浄機を48L/分の流量で5、10、35.5分間稼働させた。その後、チャンバー内のSARS-CoV-2エアロゾルを採取しウイルス力価を測定した。

35分でほぼ100%除去

その結果、HEPAフィルターによるSARS-CoV-2エアロゾル除去率は、空気清浄機の稼働時間5分で85.38%、10分で96.03%、35.5分で99.97%超と、稼働時間が長くなるにつれ除去率は上昇した。

続いて、抗ウイルス剤(商品名Cufitec)を塗布したHEPAフィルターのSARS-CoV-2エアロゾル除去効果を検証した。同剤は1価銅化合物から成り、活性酸素を発生させフィルター面に付着したウイルスを不活性化する。同剤を塗布したHEPAフィルター搭載空気清浄機で同様の実験を行ったところ、SARS-CoV-2エアロゾル除去率は稼働時間5分で90.35%、10分で98.34%、35.5分で99.99%超と、通常のHEPAフィルターとほぼ同等だった。

以上から、同氏らは「HEPAフィルターを用いた空気濾過により、SARS-CoV-2エアロゾルを経時的に除去できることが定量的に示された。空間中のSARS-CoV-2除去には、HEPAフィルター搭載空気清浄機の設置場所、風量、風向きを適宜調整することが重要だ」と結論。さらに「HEPAフィルター搭載空気清浄機の使用と室内換気を併用すれば、より短時間で効率的に空間中のSARS-CoV-2を除去できる。また、フィルターに抗ウイルス剤を塗布することで、フィルター交換時に生じるウイルス曝露リスクを減らせる可能性がある」と付言している。